コードシェア便に気をつけよう

アライアンスの本格化によってコードシェア便はどんどん増え、全日空は八三路線で週一四七〇便、日航は一一六路線で週一七〇〇便に達し、他社のぶんを含めて成田空港発着便の四割を占めるようになった。

日本ではコードシェア便は一般的に「共同運航便」と訳されているが、コードシェア
(便名を共有)便と共同運航(ジョイント・オペレーション)便は本来異なる。共同運航便とは、乗務員が一緒に乗り込むなどして機内サービスなども両社で行われるのだが、コードシェア便は単に便名だけが共有されるフライトなので、機内サービスは飛行機の運航会社だけの内容で行われる。

したがって、ユナイテッドの手による全日空とのコードシェア便には全日空のスチュワーデスは乗務していないし、全日空独自の機内サービスもない。

コードシェア便を利用するにあたって注意すべき点は何だろうか。コードシェア便とは、「チケットと実際の飛行機が必ずしも一致しない」ことだ。そこで、実際に運航するエアラインをチェックする必要がある。実際に運航するエアラインの安全性に疑問があるならば、きっぱりと断って自分の乗りたいエアラインに切り替えるべきだ。

次に気をつけなければならないのは、チェックインの場所。たとえば日航のシアトル行きの五〇〇八便は、アメリカン航空の運航するフライトである。成田でのチェックインは、日航の使用している第二旅客ターミナルではなく、アメリカンの使っている第一ターミナルで行われる。両方のターミナルビルはバスで一〇分も離れているので、事前によく確かめておく必要がある。

そして、もっとも重要なことは補償問題だ。旅客の輸送は航空券を販売したエアラインの輸送約款が適用されることにはなっているが、まだ実際にコードシェア便の事故が起きていないために、判例が確立していない。

補償金額に大きな開きがあるエアライン同士のコードシェア便で、低い金額のエアラインの明らかな過失で引き起こされた事故の場合に、提携エアラインはそのまま高い金額を補償するのだろうか。

そして、同じ機体に乗り合わせた乗客がまったく同一の原因と状況にもかかわらず、航空券を購入したエアラインが違うという理由だけで補償金が何倍も異なることが許されるのか。はなはだ疑問である。