カウンセラーのもう一つの仕事

私はほかの人に比べたら本をあまり読まないほうですが、それでも読まざるをえない本を読んでいると、読んだことがいろ’いろと身について、いまでは心理療法以外のことも書いたりしています。

簑輪さんは働くということをそれだけ真剣に考えているわけですから、そのことを自分で研究して、その研究したことを自分の仕事の中で考えてみる。ときには、それをクライエントに言ってみる。

あるいは、クライエントから聴いたことで、また修正してみる・・・そういうことをずっとやっていくことがかんじんです。「仕事とはなにか」、「働くことの意味」について、自分で論文が書けるくらいになっていただきたいと思います。

答えがすべてわかる人などいません。考えること、追究することをやめたら、カウンセラーはそこで終わりです。

私たちの仕事は、いかにもクライエントの愚痴ばかり聴いているみたいに思われるけれども、そういう中から、たとえば、「仕事とはなにか」とか、「遊びとはなにか」とかを考えているわけだし、そういう勉強をしていけるからおもしろいわけです。

その中から、必ず自分にフィットするものが見つかってきますから、それをさらに深めていけば、カウンセラーとしての、というより、人間としての幅がどんどんふくらんでいきます。

こういうことは、もとはみなクライエントとの関係から出てきたことで、だから、私など、こんなに恵まれた仕事はほかにないのではないかと思うほどです。

スクール・カウンセラーにしても、仕事をしていれば、自然と「学校とはなにか」ということを考えざるをえなくなります。その場合に、単に漫然と考えているだけでなく、学校の歴史を調べてみようとか、日本の学校制度はどうなっているのだろうか、アメリカはどうだろうかと、どんどん調べていけばいいわけです。

カウンセラーだからクライエントと会うだけが仕事だと思ったら大間違いです。そのようにして、自分をずっと鍛えつづけていくことが大切です。